F-1名勝負の3-2000年ベルギーGP

 予選でのPPは、この年のチャンピオンシップを争っているマクラーレン・メルセデスに乗る“ミカ・ハッキネン”が、激しいタイム争いを制した形になった。
 しかし、ニューウエーブの活躍も決して見逃せない結果が、2位以下には現れていた。
 2位にはジョーダン・無限ホンダに乗る、今やベテランの域に達した“ヤルノ・トゥルーリ”が入り、3位にはウイリアムズ・BMWに乗る、2009年のチャンピオンを獲得し、やはりベテランの域に入った“ジェンソン・バトン”が入った。

 しかし一方では、ハッキネンとチャンピオンを争っているフェラーリの“ミハエル・シューマッハ”は4位、同じく“ルーベンス・バリッチェロ”は10位へと沈んだ。
 また、ジャガー・コスワースに乗る“ジョニー・ハーバート”と“エディー・アーバイン”はそれぞれ9位と12位へと、精彩を欠いてはいたのだった。
 この予選中にも、マシーントラブルやエンジントラブル、スピン等で一時中断が相次いだ。
 決勝レースでの波乱を連想させる出来事でも会ったのだ。

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 そして8月27日、午前中のフリープラクティスでは雨にたたられ、ベネトン・プレイライフに乗る“ジャンカルロ・フィジケラ”が激しいクラッシュを演じ、更にレースでの波乱を予想させたのだった。
 いよいよスタートの時間が近づき、懸念されていた、スパ・フランシャン名物の雨は止んだが、コースにはいたるところに水溜りがあり、はっきりしたウエットコンディションでのスタートになった。
 殆どのマシーンはウエットタイヤ装着、そして何とも珍しい“セーフティーカー”先導によるスタートという、あまり例のない始まりを迎えたのだった。
 1週目を終えると、セーフティーカーは退場して、いよいよ本当の意味でのスタートが切られた。
 スタートで飛び出したのはマクラーレンのハッキネン、続いてトゥルーリとバトンの激しい、2位争いが5週目まで続いた。
 この週のバスストップでトゥルーリを攻めすぎたバトンはアウトの膨らみ、隙をつくってしまった。この隙をピッタリと付けていたシューマッハが見逃すはずもなく、バトンをかわして3位に浮上。
 勢いに乗ったシューマッハは、その後1コーナーの飛び込みで、今度はトゥルーリを捉えて2位にポジションアップを果たした。この時にインを開けてしまったトゥルーリに、何とバトンまでが襲いかかったが、ややオーバースピードになっていたバトンはトゥルーリと接触。トゥルーリはスピン=リタイアに追い込まれ、バトンもこの間にマクラーレンのクルサードに順位を奪われ、更にはオールージュの手前ではチームメートのラルフ・シューマッハ(ミハエルの実弟)にも抜かれてしまい、事実上のトップ争いからは脱落してしてしまったのだった。バトンとラルフは若手同士なのだが、ここではラルフのレース運びに軍配が上がったと言える。
 こうして、ミハエルのハッキネン追撃態勢が整ったとも言えるだろう。

 やがてコース上のレコードラインは乾き始めた。
 プロストGPは、順次アレッジとハイドフェルドをピットに入れ、タイヤをドライに。
 これを見たフェラーリも、一発に掛けるシューマッハをピットに入れてタイヤを交換した。
 各チーム、一斉にタイヤ交換のためのピットインが続き、ピットロードは混乱を極めた。
 もたついたマクラーレンは、タイヤ交換のタイミングを逃し、ハッキネンは他チームよりも1週遅れてのタイヤ交換になった。
 シューマッハは自己ベストを連発し、8週目にはファーステストラップを刻んだ。
 タイヤ交換のタイミングを誤ったマクラーレンは、3位走行をしていたクルサードが3位に転落し、最初にタイヤ交換を済ませていたアレッジが4位にジャンプアップ。タイヤ交換のタイミングが正しかったことを証明したのだった。
  
 その後もハイペースを維持するシューマッハに対して、燃料搭載量のせいなのか、ハッキネンのペースが今一つ上がらない。
 22週目にシューマッハがピットイン、ハッキネンとラルフについで3位でコースに復帰。
 25週目と27週目にラルフとハッキネンがピットイン、シューマッハがトップに立つ。
 残り10週からのミカとシューの激しいバトルは、すさまじかった。92年のモナコでのセナとマンセルを彷彿とさせる。
 各コーナーでシューを揺さぶるミカ、動ぜずにブロックをするシューに隙はないのか。
 それは41週目のストレートエンドでの事だった。
 周回遅れのBARに乗るリカルド・ゾンタをシューがアウトから、ミカがインから同時に抜き去った。この一瞬でミカはシューの前に出られて、そのまま逃げ切り勝利を掴んだのだった。
 この時、ゾンタは「あいつら、クレージィーだ」とチームラジオで叫んだことは、今でも語り草になっているほどだ。
 まさに、名勝負と言える一戦だった。

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